政治の話

今日は最悪だった.ヒトは十何時間も起きることに耐えられないらしい.はやく丸一日中起きていられる身体が欲しい.

這うようにして帰路へつく.ようやく最寄りに帰ってきたとき,選挙のビラ配りがいた.一番渡してそうな若い兄ちゃんでさえ,目をしっかり見つめながら歩いたら渡すのを躊躇していた.そうやって渡すチャンスを逃していくんだな.その向こう,爺の上に音楽,それも選挙とは似つかわしくもないヒップホップ.Bluetoothスピーカーで流しているのだろう.

俺には,選挙の一票よりその無造作無作法のヒップホップこそが自分を救うように思えた.そもそも,端的に救いを求める人間に,それも自然科学信者に政治などという薬は弱すぎる.この街には日々がうまくいっているのか,気迫のない人間が多い.それはいいことで,同時に羨ましい事でもある.

脳裏に焼き付いた光景のために走る人間にどうしてそんな弱い解決手法を提示するのか,何時間か経過した今でも不思議でならない.