有機化学-part1 有機化合物の命名 ~アルカン(直鎖)編~

この記事では、有機化合物でおそらくは最も単純である"アルカン(alkane)"を命名していきたいと思います。

本題である命名に入る前に、アルカンについて軽く説明していきます。

まず、アルカンはメタン、エタンのように

炭素と水素のみで構成される

分子内のすべての結合は単共有結合である - 飽和

構造式上ではこのような特徴が見られます。

素数が増えてくれば、炭素-炭素結合が枝分かれすることもあります。(この記事では触れません)

今回は、このアルカンの名前と構造を紐づけられるようになって、より深い内容の時に少しでも迷わず読めるようにやっていきたいと思います。

 

命名するときは、その化合物全般を指す名前がその化合物の特徴をとらえていることが多いです。

勉強する人が紐づける前にもう言葉と構造自体が深く結ばれていますね。

alkaneという名前に・を入れて分解していきましょう。

alk・ane となって、

次に、メタン(methane)、エタン(ethane)も・で分解しましょう。

meth・ane、eth・ane となり、共通の ane が見えてきました。

実は、この ane は上で述べた"分子内のすべての結合は単共有結合である - 飽和"の特徴を持つ言葉です。

では、methaneの"meth"やethaneの"eth"は何かというと、これらは"炭素の数"を意味します。

横道に逸れますが…違法薬物に「メタンフェタミン」というものがあります。

これは覚醒剤として知られている中でもポピュラーな化合物で、字だけを見ると「メタン」が含まれているように感じますが、これは間違いです。実際のメタンは常温で気体です。

英語圏でのスラングのひとつで"meth"と呼称されています。

これも英語で書くと…

methamphetamine(もしくはmethylamphetamine)となり、methaneが含まれているわけでないことがわかります。

methylamphetamineをIUPAC(化学のすごい人が集まって行う会議のようなもので、その化学者集団のことです)命名法で命名するともっとわかりやすいですが、話が逸れすぎるのも良くないのでこのへんでやめておきます。また機会があれば。

最後に、炭素の数と名前の対応を述べて終わりたいと思います。

C1 meth,C2 eth,C3 prop,C4 but,C5 pent,C6 hex,C7 hept,C8 oct,C9 non,C10 dec

C11 undec,C12 dodec (+aneで直鎖アルカンの名前になる)

これくらい覚えておけば大体は読めるようになるでしょう。それでは。