散歩。水路の話。

11時。遅めの朝食を摂るがあまりにも気怠いので散歩に行くことにした。

家を出てすぐの交差点、行ったことのない方向に歩き出す。

閑静な住宅と数棟の団地。横目にひたすら歩き。

水路が見えた。どうやら歩いていく方向に続いているらしい。

団地の横を流れているうちは水もさほどきれいではなかったが

1匹の羽黒蜻蛉が飛んでいた。

水先案内人のように、しばらく自分の前を飛んでいた。

数分。水路は軽い林に包まれているようだった。

水路を眺めながら歩く。次の水先案内人は糸蜻蛉だった。

無数の水黽が水路に波紋を作るさまは、雨天の水溜りを彷彿させる。

木で作られた橋から水路を眺める。水黽の奥に、無数の小海老。

この水路に魚は少ない。

この散歩で見かけたのは深い場所に金魚1匹と浅瀬のメダカ1匹だけだ。

歩く。先の台風で折れた樹が水路にかかっていた。

歩く。水音。水路の終点は、見知らぬ交差点とパイプだった。

自然と人工の境界。